組織と情報化、そして未来のために

 組織防衛と情報化は、しばしばそれぞれが対峙して表現されることがあります。
組織というのはヒエラルキー、ピラミッド型というのが青年会議所だけでなく世の常です。口ではLOMがどうこう、個人会員がどうかと言ってはいますが、結局情報の流れを見ると会頭や副会頭がたくさんの情報を持っていて、それを小出しにしていくことによって室長や委員長をコントロールしていた時代がありました。青年会議所はそれを創立以来ずっと続けてきましたし、JCだけでなく皆さんの企業においても同じことが言えます。つまりピラミッドを形作るものは情報量の差と言われていたのです。

パソコンがどんどんと発達していき、益々情報化が一般化して進んでくると、情報というものは一気に平面上に投げ出されます。見たい人が見るという感じでその気になれば誰でも情報に触れ合うことが出来るようになってきます。こうなると情報をいかにたくさん持っているかというのが地位の象徴ではなくて、いかに良いタイミングで情報に触れ合ってそれをいかに的確に判断するかというのがこれからのリーダーの資質ではないかと思います。
私はよく「文鎮型の組織を創ろう」と話をさせて頂いていますが、この平面を少し立体的にしてそこにへそをちょこっと乗せたような形の組織が、これからの組織のモデルではないかと思います。


 政府の審議会に出席させて頂いた時に、ノーベル賞候補の方のご講演を拝聴することができました。彼は米国の通信系企業の技術者なのですが、「日本の規制緩和は、一旦規制を撤廃してからカオスの状況にしなければ緩和は進みません」という、非常に極端なご意見を述べられていました。実際そのような考え方もあろうかと思いますが、JCのヒエラルキーというのも、本当に自信があれば一度平面に投げ出してしまって、そのまま組み上げるのではなく平面のまま情報を公開すればいいのではないかと思います。
そうなっても理事長は理事長、室長は室長で存在する訳ですから、自分の立場を優位にするために情報の出し惜しみをすることだけは、今後の時代には通用しないということを肝に銘じて頂きたいと思います。

 「情報化」という言葉には、「パソコンオタク」とか「パソコンは難しい」という印象が付きまといます。電気を消した暗い部屋でディスプレイをのぞきながらひとりでパコパコやっているというマイナスのイメージが先行します。私も事実数年前まではそのように思っていたひとりでありました。
ところがインターネットが急速に普及して、自由に世界中の情報がやりとりできるようになってきて、キーボードをさわれないこと自体がおかしいという時代がもうそこまで来ているのです。つまりJCに入ったことでパソコンに触れ合えるきっかけを掴んだということは、友人を増やしたのと同じように価値あることなのです。
このチャンスをフルに活かしてもらって積極的に情報化に取り組んでもらいたいと願います。JCには、ビジネスについてのチャンス、友情を作るチャンスなどがありますが、それらと同じくらいの重要さで情報化に触れ合うチャンスが皆さんの前に提示されているのです。



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