2002年度 (社)姫路青年会議所理事長所信
 
    理事長 米谷 啓和

右手にグランドデザイン、左手に全国大会招致
ごきげんなまち姫路とゆかいな姫路JCを
ともに創造しよう!

 はじめに

 (社)姫路青年会議所はまちづくり団体でしょうか、それとも経営者のサロンなのでしょうか。あなたはどちらだと思いますか?

 まちづくり団体だ、と言う人は、「社団法人」という公益のために活動する法人格を持っていることがその何よりの根拠だと言われるかもしれません。またやっぱりサロンやで、と思われている人は、参加しておもろないとだんだんやる気もなくなるで、とストレートに感じてらっしゃるのでしょう。
 ではその答えは・・・実は青年会議所の「定款」にちゃんと書いてあるのです。会員名簿の129ページを開いてみてください。会の(目的)として「諸団体と協力して地域社会に貢献する」「修練、社会開発および会員の連けいを図る」とあります。またその下の(事業)には、「社会開発事業及び青少年問題に関する事業」「会員の個人的修練及びその親睦のための事業」とはっきり書いてあります。
 ここから、「まちづくり」「親睦・連携」「修練」(と世界との「友情」)が(社)姫路青年会議所の目的、少し堅い言い方をすれば存在意義であることが分かっていただけたことと思います。つまり、サロンでもあるし、まちづくり団体でもある、まさに青年経済人からなる「まちづくりサロン」なのです。
 そこで今年度、冒頭にも掲げた「ごきげんなまち姫路とゆかいな姫路JCづくり」をキャッチフレーズに、ディープなつきあいとつながりを築きながら、会員のみなさんと、また市民団体や行政、企業の中にいる元気のいい人たちといっしょに、ITの時代にふさわしいスピード感をもって青年会議所運動を繰り広げていきましょう!

 大震災がJC運動を変えた

 1957年の創立以来、(社)姫路青年会議所は、個人の修練、社会への奉仕、世界との友情を3つの信条として、まちづくりとひとづくりとに、英知と勇気と情熱を持って取り組んで来ました。
 そして、1995年1月の阪神・淡路大震災の救援と復興支援活動をさかいに、その運動は市民団体や行政などとのネットワークを生かし、市民としての自発性にもとづくものへと大きく舵を切ることになりました。
 またそれは、震災を契機にボランティア意識にめざめた市民が、福祉や国際、環境、教育などの分野で使命感をもって社会に貢献しようとし始めるなかで、青年会議所の役割や目的を見つめ直す時期でもありました(97年LOM自己分析特別会議、99年01会議オ・ミルフィーユ)。

 そして「晴れ」の場が訪れて……

 震災の年、95年7月に開催された「はりまサマーコンファレンス」にはじまった<市民参加>と<広域まちづくり(ネットワーク)>のうねりは、翌96年の40周年記念事業「第2回はりまサマーコンファレンス」という市民参加型の全体事業や「あつまろうや!姫路」「はりまインターネット研究会」の立ち上げというかたちでいっせいに芽を吹きました。
 その流れが数年のうちに力を増し、みごとに結実したのが、2000年7月「がんばっている人にエールを送ろう!」のテーマのもと開催した、「あ!WAずGARDEN2000」と「はりまNPO・ボランティア大賞(アワード)2000」でした。
 はりまの<人と情報とものとお金の循環>の仕組みづくりをねらって行われたこの全体事業は、姫路のみならず播磨のまちづくりの歩みに新たな1ページを刻み、市民団体の「晴れ」の場をつくっただけでなく、わたしたちJAYCEE一人ひとりの晴れがましい瞬間でもありました。

 まちづくりの4つの課題

 そして昨年度、創立45周年をむかえ、全国会員大会招致をすすめるとともに、全国大会開催という目標を生かした継続的なまちづくりに取り組むためのまちづくりグランドデザイン「循環のまち姫路 創造へのシナリオ」を発表しました。
 そこでは次の4つのまちづくりの課題が取り上げられています。

・情報の循環

・ひとづくり

・資源の有効利用・循環

・姫路の個性を発揮

 この4つの課題に継続的に取り組んでいくことが、これからのLOM運営、とりわけまちづくり運動の中心になると考えます。

 循環のまち創造センターへ

 2001年度も引き継がれた「はりまNPOボランティア大賞(アワード)2001」では、「はりまビジネスフォーラム」とも併せ、市民団体や企業の交流、情報や活動資金の循環という一定の役割を果たせました。
 そして今年度は、グランドデザインでつかみ出した4つの課題に取り組む中で、去年の「晴れ」と今年の「晴れ」とをむすぶ、日常的な人・情報・資源・金・サービスの循環の仕組みづくりを始めます。
 播磨地域でさかんな「祭り」は、その当日にいたるまでの三百数十日の日常生活の営みがあってこそ、「晴れ」の場たりえます。それと同様に(社)姫路青年会議所は、日常のまちづくりの循環の担い手となることをめざします。

<重点事業>

 アワードシステムの継続と発展

 はりまNPOボランティア大賞(アワード)を継続していく中で、市民のまちへの参画意識には3つの段階があり、それに応じたサービスが必要であることがわかってきました。

<ひとおこし>まったく意識がない人には、まちにかかわるきっかけづくりを

<ひとつなぎ>意識を持ちはじめた人には、活動の機会や場の情報提供を

<ことつなぎ>すでに行動を起こしている人には、支援と交流、晴れの場を

 この3つの段階を意識しながら、今年度もより発展したアワードシステムの推進とアワード祭典の実施を、全体事業としておこないます。さらに晴れの日のイベントだけに頼らない、日常的に人・情報・資源・金・サービスの循環するまち・姫路をめざします。

 善意が循環するまち

 事業や組織運営をとおして(社)姫路青年会議所会員自身がリーダーシップや社会技術を身につけるとともに、青少年の人格形成教育を目的とする「副読本」作成によるひとづくりや理想の学校像の創造をとおして、善意やサービスが循環するまち・姫路をめざします。
   また、姫路在住外国人との交流をはかったり支援活動をサポートしたりする中で、まちの国際化をはかります。

 まちの小さな自立システムづくり

 小学校単位の、顔の見える範囲のコミュニティにおける人や情報、善意の循環とともに、地域内の連携によりエネルギーが循環し食料が循環する、自立したまちのシステムづくりを試みたいと思います。また車中心の社会からまちを人に取り戻す試みとして自転車利用の地域交通の仕組みづくりなど、資源が有効活用され、循環するまち・姫路をめざします。
 また、会員企業においてはISO14001や「環境活動評価プログラム」の導入による資源の有効利用をとおして経営体質の強化を図ります。

 まちの個性を見出し育てる

 世界文化遺産・姫路城とともにわたしたちが日本や世界に誇れるものとして、播磨地域の祭・屋台文化があります。こうした地域コミュニティがもつ有形無形の文化財を保存・継承するとともに、開かれた学校を核としたコミュニティが息づくまち・姫路をめざします。

 さらに元気な姫路JCをめざして

 1989年の兵庫ブロック会員大会、92年の全国城下町シンポジウム開催の延長線上に描かれていた夢の「全国会員大会 姫路大会」。それが99年の総会決議、2000年の兵庫ブロック会員会議所会議での支援決議、そして2001年、近畿地区会員会議所会議において立候補権利(ビット権)を得て、いよいよ今年度、大会主管LOMとして立候補します。早ければ2005年にもまちづくりの集大成の場である「全国大会」が、そしてあの感動的な「卒業式」がこの地姫路において開催されることになるかもしれません。
 シニアクラブ会員のみなさまのお力添えをいただきながら、2001年度に引き続き全国大会主管LOMへの立候補・開催準備をすすめていきましょう!そしてこの大きな目標に向かって、会員拡大にも180数名の会員一人ひとりが日常から拡大意識を持ち取り組んでいきましょう。そして姫路JC全体がもっともっと元気のある団体になることをめざし、そしてごきげんなまち・姫路の創造に向けて一体となって突き進んでいきます。

 おわりに

  どんな偉大な社会運動も、はじめは一人から始まった
           ……マーガレット・ミード アメリカの文化人類学者

 この指とまれ! の指がたくさん差し出されるまち、周りからもその差し出された指がよく見え、みんながとまれるまちに……愛するこのまち姫路をそんな自発性に富んだまちに創り上げていきましょう。
 そして、その指を差し出すのもとまるのも、あなた自身です。
 まちづくりの、そして人生の一場面一場面で「はじめの一人」となれる人間が、自立したJAYCEEと言えるのではないでしょうか。

(社)姫路青年会議所の会員のみなさんとともに、循環のまち・姫路を創造できますことを切に願いつつ、あせることなく、しかし、たゆむことなく、きらめくまちづくりの海原に船出しましょう!